着物に関わる仕事として、日々多くのお客様へ「非日常の着物の楽しみ」を提供するレンタル着物店。京都の老舗レンタル着物店である「岡本」監修のもと、一生モノの和装ヘアセットの技術とはどのようなものか、ベテランヘアセットと新人ヘアセットの仕上がりを比較しながら見ていきましょう。
「レンタルきもの岡本」へ入社した方は、まず全員がヘアセットのテストを受けることになります。一定レベルの技術がみについてはじめて、お客様へヘアセットが認められるという厳しいものです。岡本のヘアセットはベーシックコース8種類、オリジナル8チョイス8種類の合計16種類があり、それぞれ一定以上のクオリティかつ指定の時間内で仕上げることが要求されます。
元々の経験やスキルにもよりますが、だいたい半年~1年半ほどの期間はかかるとのこと。お客様へ高いクオリティの着付け・和装ヘアセットを提供しているからこそ、京都で7店舗も展開する人気店となっています。
社歴10年以上のベテランヘアセットHさん
レンタルきもの岡本に10年以上勤務するヘアセットのHさんは、清水寺から徒歩2分の場所にある人気店舗でスタイリストとして活躍されています。いま流行りのルーズなふわふわの巻きスタイルから、和装ならではのひっつめ髪まで、短時間で美しく、尚且つ崩れにくいヘアセットを実現するプロ中のプロです。
チェックポイント:髪質を見極めて、カーラーに巻く量を調節
お客様の髪質によって、カーラーへ髪を巻く量や強さを調整する必要があります。京都のレンタル着物店である岡本には、外国からのお客様も多く来店されるため、あまり扱ったことのない髪質の方もいらっしゃいますので、慣れが必要です。浮いてしまったり、毛が飛び出してしまったりがないように、しっかりと巻き付けていきます。
チェックポイント:余計な毛束がないように再チェック
髪型によってシニヨンをどこにするのが美しいかを想定して三つ編みをつくります。また、飛び出している毛束がないようにこの段階で確認をしておきましょう。髪の毛の流れが自然かどうかも重要です。
チェックポイント:美しく見える位置にシニヨンをつくる
エレガントシニヨンやルーズシニヨンのスタイルの場合、シニヨンはあまり上につくりすぎず、うなじにかかる程度の位置にしてあげることで、上品な印象に仕上がります。ピンを留める際は、内側へ隠すように打っていきましょう。
チェックポイント:外から見えない位置にピンを打つ
カーラーを外しトップの髪を下ろして、シニヨンを仕上げていきます。カールした髪を整えながら、ピンが外からは見えないように隠していくことが重要です。しっかり留めていないと、崩れやすくなるため注意が必要です。
チェックポイント:髪の毛の流れが不自然にならないように
サイドの髪の毛をシニヨンにまとめていく際は、髪の毛の流れが自然になじむように心がけましょう。ヘアセットの際に分けたパーツの区切れ目がわからないようになることを意識して整えていくことが重要です。
和装のヘアセットはふわふわとカールをつけることも多く、一見すると技術の違いが見えにくいものです。ですが見比べることでその力の差が歴然となりました。京都の町を散策する中で、お客様に「崩れてしまった」とガッカリされないためにも、この技術を身に付けることは大切なのだと言えます。
レンタルきもの岡本は、創業190年を超える老舗織物店「岡本」の着物レンタル専門店。着付けやヘアセットの技術力が高いと評判を集めています。
未経験からでも着付け師・ヘアセットとしてプロになれる教育体制が確立されているのも特徴です。
ヘアセットでは髪の毛をブロックに分けて上げていきますが、その境目がわからないようなナチュラルな流れを作っていくと、より美しく見えます。
止めたピンが外からは見えない、シニヨンをしっかりと上の方につくるなど、髪型ごとにキレイに見えるポイントを抑えていく必要があります。お客様の髪質を見極めて、より美しく仕上がる髪型を提案するのも、ヘアセットとしての実力が問われる部分だと思います。