着物は用途によってその場にふさわしいとされる種類があります。着付け師は様々な種類に合わせた着付けを学ばなければなりません。
まずは基本の浴衣と小紋から、ポイントを見ていきましょう。
浴衣は着付けの中では最も初心者向けだと言われており、資格を持たない方であっても着付けるのはそう難しくはありません。
必ず押さえるべきなのは、「右前」にしておくこと。衿に右手が入るように重ねる、と覚えておきましょう。あとは下着を付けたら浴衣を羽織り、丈をある程度決めてその高さに腰ひもを絞ります。
おはしょり(折り返し部分)を整えて胸紐を締めたら、その上から伊達締めで留め、帯を結んで完成です。
小紋は全体に模様や柄が繰り返されている型染めの着物のことを指します。
模様や柄の種類、大きさなどが多種多様なので、模様の格によって着る場所を多少選ぶ必要はありますが、様々な場所に着ていくことができます。
小紋は外出着として見なされ、お稽古ごとや観劇、友人との食事など、外出にピッタリの着物です。
カジュアルなパーティーやお茶会の場合には手鞠や扇、御所車などの古典柄を選ぶとかしこまった雰囲気が出てよいでしょう。
浴衣や小紋の着付けを身に着けたら、続いてはやはり略式礼装の着物である「訪問着」、そして晴れの日に着られる「振袖」や「留袖」が思い浮かびますよね。
留袖は女性の正装として知られており、既婚女性がフォーマルな場で着用するのが一般的です。
訪問着は浴衣とは違い、直接着物を羽織ることはできません。足元も裸足ではいけないので、先に足袋を履いて、「肌襦袢(じゅばん)」と呼ばれる肌着を着用します。
次に着物と同程度の長さの長襦袢、そしてようやく着物…という順番です。襦袢はコーリンベルトという器具で固定するのが一般的で、浴衣に比べると全体を整えるのは難しいと言えるでしょう。
また、帯の結び方も複雑になりますから、ぜひ教室や身近な詳しい方を参考に、根気強くチャレンジしたいですね。
着付け師の国家資格でも出題される問題のため、「付け下げ」という言葉も覚えておきたいところ。
これは一部の訪問着にも当てはまる特徴で、「比較的フォーマル」かつ「柄が控えめ」なのが見分けるポイントだと言われています。
一般的な訪問着より着物の格が上となりますが、着付けに関してはそう差はないようです。
未婚の女性にとっての晴れの日の正装であり、特に成人式で用いられる振袖。振袖は帯結びのバリエーションが通常の着物より豊富なため、着付けが難しいと言われています。
袖が重いことから、自力で着付けるのは至難の業。習得する際には鏡を見ながら着付けるより、誰か身近な人にお願いしてモデルをしてもらうのが良いでしょう。
帯結びをスピーディーにするために用意された「改良枕」と呼ばれる器具を使用すると、先に帯を作っておけて便利です。
留袖には「色留袖」と「黒留袖」の2種類があり、特に黒留袖は格式の高い第一礼装(結婚式等で新郎新婦の近しい親族が身に着けられるもの)として知られています。
黒以外の留袖は色留袖と呼ばれ、五つ紋の場合は黒留袖と同格となるようです。着付けの流れに関しては訪問着とそう変わりはありませんが、留袖は「重くてバランスが取りにくい」のが難点。衿の合わせ方や抜き方を美しく仕上げるのが難しいため、上級者向けとされているのですね。
女性用の着物以外にも、着付け師の国家資格では男性用の着物の着付けも出題されています。
紋服は袴がプラスされますが、これに関しては女性も大学の卒業式等で着用するケースがあるため、特に呉服店等で活躍したい方はしっかりと身に着けておきたいものです。
着付け師の資格には国家資格と民間資格が存在し、それぞれに求められる知識やスキルが異なることが分かりました。
着付けのプロとして長く活躍していくためには、浴衣や小紋といった日常的な着物だけではなく、特別な場所にふさわしいフォーマルな着付けも身につけなければなりません。
このように幅広いスキルを磨くためには、呉服店や結婚式場などより多くの経験ができる職場に身を置くのがおすすめだと言えるでしょう。
レンタルきもの岡本は、創業190年を超える老舗織物店「岡本」の着物レンタル専門店。着付けやヘアセットの技術力が高いと評判を集めています。
未経験からでも着付け師・ヘアセットとしてプロになれる教育体制が確立されているのも特徴です。