専門学校で学んだ着付けの技術を本格的に生かせる仕事へ転職
「レンタルきもの岡本」で働く着付け師の中には、美容師として活躍をしていた方も少なくありません。美容師からレンタル着物店へ転職した理由や、どのような点でやりがいや働きやすさを感じているのか、今後の目標についてなどをインタビューしています。
――どうして美容師になろうと思ったのでしょうか。
仕事をするならば何か資格を取りたいと思ったのが、美容師になったきっかけです。手を使うことや細かい作業は得意でしたし、人とのコミュニケーションも好きでした。ならば美容師が向いているのかな、と。
また、前から夏祭りや花火、結婚式など、行事があるときに着物を着るのが好きだったので、着付けが学べるというのも美容学校を選んだ理由のひとつになっていると思います。
――美容師から着付け師へ転職した経緯をお聞かせください。
元々、専門的な仕事をしている人ってとてもカッコイイと思っていて。美容師という仕事はカットやカラーリング、ヘアセットなど、業務内容はかなり幅が幅広く、意外と専門的とはいえない。もっと専門的な技術を身に着けたいと思い、転職を考えるようになりました。
美容師の仕事の中でヘアセットが好きになったこと、美容学校で習った着付けが印象深かったこともあり、本格的に生かせる仕事に就きたいと思い、着付け師のお仕事を選びました。お客様にとって特別な1日のお手伝いができるというのも、素敵だと思っています。
――着付け師の中でもレンタル着物店を選んだ理由はありますか?
美容関係や接客業など転職先を幅広く探していましたが、専門的かつ1日に触れあえるお客様の人数が多いという点でレンタル着物店は魅力に感じました。接客が好きですし、たくさんのお客様と触れ合って、お喋りをしながらお仕事ができたほうが楽しいですし、着付け・ヘアセットの技術も身に付く。なのでレンタル着物店に転職しようと早い段階で決めていました。
ただ、転職を考えたときちょうどコロナ渦だったので、どこのレンタル着物店もあまり求人募集をしていなくて。いろんなレンタル着物店のホームページを見ていたところ、岡本では着付け師の募集をしていたことから応募をしました。
出会いは単純にタイミングがよかったからですが、他のレンタル着物店さんと見比べたとき、プランがたくさんあったり、返却時間が遅く設定されていたりと、とてもお客様に寄り添っているお店だと感じて、岡本を選んでよかったと思っています。
――実際にレンタル着物店で働きはじめて、どうでしたか?
3月に入社したためちょうど桜のシーズンで、想像以上に忙しかったです。はじめは受付スタッフとしてスタートしましたが、その場の状況を理解しながら手続きやレジを覚えることに必死でした。
その中でも、着付け・ヘアセットにお客様が入られてから仕上がるまでの時間がとにかく早いことに驚かされました。しかも素早く仕上げているのに、クオリティがとにかく高い!岡本の技術力に圧倒されたのをよく覚えています。
岡本ではヘアセットの種類は決まっていますが、人によってスタイルの作り方や手順が違っています。時間があればとにかく観察し、わからないことは後で必ず質問をして、自分でも試してみるを繰り返して技術を身に付けていきました。
――「レンタルきもの岡本」の技術力は、美容師経験のあるYさんにとっても驚くものだったんですね。
そうですね、仕上がりのクオリティはもちろんですが、そこにスピードという点も伴っていることに驚かされました。レンタル着物店に来店されるお客様は、これから京都市内を観光される予定ですので、できるだけ早く出発したい。いくらキレイに仕上げたところで時間がかかってしまえば、お客様は満足されません。
岡本では着付けもヘアセットも時間をしっかり区切ったうえで、一定以上のレベルで仕上がるまでお客様を担当することができません。練習中も常にタイマーをセットして、どの程度の時間がかかっているのか、特に苦手なスタイルの場合はどうかなど意識しています。
その徹底したお客様への思いが、技術力の向上にもつながっているのだと思います。お客様に「早くてキレイだった」「次に来るときも岡本にお願いします」と言っていただけることも多いです。
――印象に残っているお客様はいらっしゃいますか?
京都のレンタル着物店にいらっしゃるお客様は、当然ですが海外の方がとても多いです。接客は好きですが、やはり言葉の壁があり、上手く伝わらないと感じることも少なくありませんでした。「あまりルーズなヘアセットにしないでほしい」といった、細かいご要望などイレギュラーなことを聞かれたとき、意味はわかってもなかなか言葉が出てこないことも多くて。
それでも一生懸命、笑顔で伝えようとすると、お客様から「英語いいよ!」とほめていただくこともあり、とても嬉しいです。海外のお客様は着物を着る機会が日本人よりも少ないはずですので、少しでもよい思い出になるように接客も頑張っていきたいです。
――Yさんがいま力をいれて取り組んでいることはありますか?
着付けやヘアセットの技術アップと同時に、接客についてももっと力を入れたいと思っています。
ご来店されるお客様の多くは着物のことは詳しくない方です。お話しの中でイメージに合ったお着物やヘアセットをご提案することはもちろん、観光ルートを伺って京都を散策するときどのような着物がいいのか、どんな返却方法ならば無理はないのかといった、プランに関するご提案もしていきたいです。
――自分で考えて行動することが重要だと。
そうだと思います。一応、受付スタッフや着付け師、ヘアセットと仕事は別れてはいますが、全体を見渡して自分が今すべきことは何か判断することが、お客様に喜んでいただくためには大切だと思います。「どうしてもヘアセットだけがやりたい」みたいな方だと、少し難しいかもしれません。
自分が考え動いたこと、提案したことをしっかりと見ていて、褒めてくれる先輩や仲間ばかりです。だからこそ、このお仕事により楽しさややりがいを感じられています。
――スタッフの皆さん、本当に仲がよさそうですね。
本当に仲がいいんです(笑)みんな人を楽しませることが大好きなので、一緒に働いていて気持ちがいいです。先輩たちは忙しい中でも、ちょっとしたことを見つけて褒めたり励ましたりしてくださる優しい方ばかりです。
こういうお店の雰囲気って、どうしてもお客様へ伝わってしまうものじゃないですか。繁忙期は本当に忙しいのでみんなとても疲れていても、笑顔で接客をしていて尊敬できます。岡本にご来店されたお客様が「楽しかった」といってくださるように、自分も頑張らないとって思えます。
――Yさんの将来の目標や夢をお聞かせください。
ずっとこのお仕事を続けていきたいというのが私の目標です。そのためにはスキルアップが必須。いまはヘアセットを担当させていただいていますが、着付けの練習もはじめています。技術はまだまだですが、先輩方がとても優しく、わかりやすく教えてくださっているので、だんだんとできるようになってきました。
先輩方は技術だけでなく、お客様への接客も後輩への指導も本当に素敵で、憧れる方ばかりです。そんな先輩たちに信頼していただけるように、日々頑張っていきたいと思っています。
――最後に、美容師から転職を考えている方へ、メッセージをお願いします。
京都の素晴らしい街並みの観光地で、たくさんの方へ着物を着ていただくお仕事。とても楽しくてやりがいがあります。お仕事の中で美容師としての経験が生かせたこともたくさんです。転職にあたり悩んだり迷ったりすることもあると思いますが、まずは進んだ方がいいと思います。
より専門的な技術を身に付け、一生モノのお仕事をしていきましょう!
レンタルきもの岡本は、創業190年を超える老舗織物店「岡本」の着物レンタル専門店。着付けやヘアセットの技術力が高いと評判を集めています。
未経験からでも着付け師・ヘアセットとしてプロになれる教育体制が確立されているのも特徴です。
元々手を使うことが得意だったことから、なにか資格を取りたいと考えたとき、美容師という道を選んだというYさん。美容師として活躍する中で、より専門的な知識・技術を身に付けられる仕事として、着付け・ヘアセットを極めるという道を選んだそうです。
ずっと着付け師として活躍していきたいというYさんに、レンタル着物店だからこそのやりがいや、日々の取り組みなどを伺いました。