ブライダルの経験を生かし、一生モノの仕事を

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着付け師・ヘアセットとしてのスキルアップを目指して
ブライダル関連から転職

ブライダルで培った高い技術力をレンタル着物店で活かす

「レンタルきもの岡本」で働く着付け師・ヘアセットの方の中には、ブライダル業界で高い技術を培ってきた方もいらっしゃいます。ブライダルから着物レンタル店の着付け師・ヘアセットとして、どのようなやりがいがあるのかインタビューしました。

ヘアセットのスキルアップの場として、岡本はとても魅力的だった

――ブライダル業界へ入られる前は美容師をされていたそうですね。

はい、元々美容師になりたくて、美容専門学校を卒業した後は美容室に勤務していました。ですがすぐに「メイクもやりたい！」と思って、ヘアメイクの事務所へ転職。そこで技術や知識を勉強をして、フリーランスとしてブライダル関連のお仕事をいただくようになり。ブライダルのお仕事では、和装ヘアセットを担当することもありましたが、それ専門というわけではありませんでいた。

――着付けのお仕事には、いつごろから興味を持たれたのでしょうか。

美容専門学校の時代から着付けに触れる機会はありましたが、本格的に興味を持ちはじめたのはブライダルのお仕事からです。ブライダルでは新婦さんや参加者の方の着付けをされる「着付けの先生」と呼ばれる方がいらして、そのお手伝いをしていました。ただあくまで「お手伝い」なので、最初から最後まで自分自身で着付けをすることはありませんでした。

それと並行して、知人からの紹介で当時ヘアセットのできる人材を探していた岡本へ紹介をしてもらい、アルバイトとして働かせてもらうことになりました。8年ほどアルバイトとして働かせてもらって、そこから正社員になるには着付け師としての技術が必須だと考えたことが、着付けを学ぶきっかけでした。

――ブライダルのお仕事からレンタル着物店へ転職されたきっかけは？

ヘアセットという職種にこだわりたくて、多くのヘアセットができる機会がある場所にいたいというのが前提としてありました。ブライダルのお仕事は1日に対応できるお客様の数が限られてしまいますが、岡本はレンタル着物店としても特にお客様がたくさんいらっしゃるので、短期間で多くの経験が詰めます。さらに着付けの技術も身に付けられるので、自分自身のスキルアップを考えたとき、すごく魅力的でした。

それに普段は着物を着る機会が少ない方でも気軽に立ち寄っていただける、そして洋服とは違う和服の楽しさを感じていただけるというのが素敵で。着物はどうしてもハードルが高いと思われがちですが、低価格かつ短時間で着替え、京都の町を楽しく散策することで、身近なものに思っていただけるのがいいなと感じました。

スピード+クオリティが必要な現場で、ブライダルの経験が活かせる

――実際にレンタル着物店で働きはじめて、どうでしたか？

私が岡本で働き始めたころは、まだ京都にもレンタル着物店は多くなく、今以上にお客様が集中していました。それに海外からの観光客も増え始めた時期とも重なっていて、ブライダルのお仕事の環境とはガラッと変わりましたね。ただ、今まで外国人の方を担当したことはありませんでしたが、ヘアセットとしてやることは変わらない。言葉が通じないことがあっても、雰囲気や表情で結構伝わるので、あまり問題には感じませんでした。むしろ環境が変わったからこそなので、そういった部分も楽しみながらお仕事できたと思います。

とある外国人のお客様を担当していたとき、8年前に京都へ来たときも岡本で着物レンタルしたとお伺いしたことがありました。そのお客様は前回ヘアセットを担当した私のことを覚えていて、声をかけてくれたんです。担当指名などはできないので偶然ではあったのですが、前回の旅行でとても楽しかったからまた来たと言ってくださって。「海外旅行」という貴重な機会に、もう一度岡本へ行きたいと思ってくださったことに感動しました。

――ブライダルの経験が活きたと感じている部分はありますか？

スピードとクオリティの両立という点で、ブライダルの技術がものすごく活きていると思います。ブライダルはお色直しの時間が限られていることもあって、すごくスピード感を求められる職場でした。それこそ何分・何秒という時間感覚が要求される。短時間であっても素早く美しく仕上げる必要があるというのは、お客様を待たせずに町へと送り出すレンタル着物店と似ていますね。

――着付けの勉強はどのように進めていかれましたか？

着付けの知識はあるといっても、本格的に取り組むのは初めてでしたので、とにかく練習練習の繰り返しでした。自分で時間をつくったり、その時に働いていらっしゃった着付け師の先輩に時間外で見ていただいたり。特に難しかったのは体型の補正です。体型は一人ひとり全く別なので、その方が一番綺麗に見えるかたちを瞬時に見極め補正する方法をマスターするのは、とても時間がかかりました。

技術に終わりはない！最先端であり続けるチャレンジ

――現在、本店の店長を務めていらっしゃいますが、その視点で大切にされていることはありますか？

結局のところ、一番大切なのはやっぱりチームワークだと思っています。レンタル着物店のお仕事はすごく忙しい時期が多いですが、チームワークさえぶれなければいい環境がつくれる。だから働いていただいている皆さんにできるだけコミュニケーションを取って、大変ながらも楽しんで働いてもらえるように心がけています。

上に立つ人間の空気感とか雰囲気って、すごく伝わってしまう。もしも自分の負の部分を出してしまえば、それがみんなに影響するのだと強く感じます。私が入社した当時の先輩たちも、どんなに忙しくてもみんな笑顔でした。その尊敬できる先輩たちのように、まず自分が楽しむことをなにより大切にしています。

――岡本ならではの「やりがい」はどのようなものだとお考えですか？

レンタル着物店として岡本は京都市内に7店舗展開していて、それぞれのお店の周辺に合わせてクラシカルだったり、シックだったり、今風のオシャレだったり、いろいろな空気感・雰囲気が演出されています。ですのでお店によって客層も少しずつ違い、そのいろんなお客様に触れ合えるのが、岡本の楽しさのひとつですね。

外国人のお客様をはじめ、ここにいないと絶対に出会えない方ばかりです。当然ほぼ観光客の方で、とても楽しみにながらご来店されています。もしかしたら一生に一度しかない経験をしてくださっているかもしれない。そんな貴重な経験を一緒に体験できるという楽しさが、レンタル着物店ならではのやりがいだと思います。

――では、どんな点が「働きやすい」と感じますか？

着付け師やヘアセットという職種自体が魅力的ではあるのですが、自分を含め長年勤務されている方が多いのは、やはり人間関係の部分が大きいと思います。先輩方がコミュニケーションを大切にしてきたからこそ、現在働いている私たちも自然とチームであることを重視できる。その環境こそが、岡本の働きやすさだと思っています。

あと、技術力向上の機会が多くあるというのも魅力ですね。着付け師もヘアセットも技術職なので、スキルアップを求めている方が多いです。時間があれば空いている場所を使って自由に練習をしていいですし、周りにもすぐ質問ができる。学んだことをすぐにお客様へ還元できる環境にあるのも、技術を体得できたという自信に繋がり、前向きに捉えられるようになると思います。

様々な年代のスタッフがいますので、先輩たちから技術を学びながら、同年代あるいは少し先に入社した「身近に感じる目標」ができるのも、向上心が尽きない理由かもしれません。

――Aさんがいま力をいれて取り組まれていることは何でしょうか？

技術には終わりがありません。やらなければそれだけ逃げて行ってしまうと思うので、もっともっと向上できるように、スキルアップできるように、今のままで満足せず研究を続けていく必要があります。

着付けは元々昔からあるもので、ベースは変わらずとも変化をし続けています。若い方の発想力や発信力で、いままででは考えられなかったことがどんどん広がっています。それを見逃さないようにし素早く取り入れるのはもちろん、さらに新たなスタイルを自ら発信していけるような、最先端を目指してチャレンジし続けたいです。